マイナスの計算って難しい!
小中学生が算数・数学を学んでいくうえで、つまづくポイントとなる単元はいくつもあります。その中でも多くの子ども達を悩ませるのが【マイナス】の計算です。小学校から中学校へ進み算数から数学と名前もなんとなく威圧感のあるものに変わり、いきなり登場するのが正負の計算です。
ただマイナスという考え方自体は多くの子どもがある程度理解できている場合が多いです。気温だったり、お金の計算であったり、ゲームの中で出てきたりと、身近なところにマイナスというもの自体は存在するので全くゼロの状態でのスタートという訳ではないのです。
それでもそのマイナスを使った計算となるとまた話は変わってきます。しかし正負の計算でつまづいてしまうとその後の数学の学習にも大きな差を作ってしまいます。ここをスムーズに通過してもらうということは私にとって大きなテーマとなっています。
今回は今のところ比較的多くの生徒に理解してもらっている私なりの教え方をご紹介したいと思います。お子さんがいらっしゃる方の参考に少しでもなれれば幸いです。
◇マイナスを使った足し算引き算
まずは足し算引き算です。足し算引き算は身近なお金の収支での説明が(今のところですが)ベストだと思ってます。
―もともとの数字についてる符号は借金orもうけ・式の符号は取り除かれたor与えられた―
この考えですべてのパターンの説明はできます。
5+(-7)=-2:5円もらったが7円の借金を与えられた→結果2円の借金
-3+(-4)=-7:3円の借金があり、さらに4円の借金を与えられた→結果7円の借金
-2-(-5)=3:2円の借金があったが5円の借金が取り除かれた→結果3円のもうけ
とほかのパターンもありますが、とりわけ上記の3パターンが理解できれば他のパターンも理解できるはずです。
足し算引き算では他にも温度計(または数直線)を使った考え方やマイナス軍とプラス軍の戦争で両軍の兵士の数なんていろいろ考えてみましたがやはりお金の考え方が一番しっくりきます。
しかし厄介なのがかけ算です。
◇マイナス×マイナスはなぜプラスになるのか
足し算引き算は収支の考えで比較的通用します。かけ算は
①プラス×プラス=プラス
②プラス×マイナス=マイナス
③マイナス×プラス=マイナス
④マイナス×マイナス=プラス
という決まりだからで覚えられてまう子もいるんですが、なんでそうなるの?とそこでつまづいてしまう子の方が圧倒的に多いです。比較的文系の子に多いのですが(私自身もそうでしたが)なぜそうなるかを理解できなければ覚えられない、理解度も十分なまでに達しないというケースは少なくありません。そこで試行錯誤し現状でのベストな方法を確立しました。
上記の4パターンで①はもちろんですが、①③は比較的理解しやすいかと思います。
足し算引き算の時同様、収支を使えます。
①3×5=15:3円のものを5つ買ったら15円
③-5×4=-20:5円の借金を4箇所からしていれば借金20円
しかし②④は収支で説明できません。
②6×(-5)=6円のものがー5個???
④-8×(-2)=8円の借金を―2か所から???
と。イメージのつかない文章になってしまいます。
この②④も含めて説明できるのが
2つのビーカーです。片方(ビーカーA)には水が入っていてもう片方(ビーカーB)は空です。AからBに1秒間に1ℓずつ水をいれます。(時間の単位や、水量の単位は何でもいいです)Bからすれば1分間に1ℓずつ水が入ってくるので3分後の水の量は
1ℓ×3分で3ℓ
逆に3分前は時間が3分戻るので
1ℓ×(-3)分で―3ℓ
Aからすれば1分間に1ℓ減ってしまうので3分経つと
-1ℓ×3分でー3ℓ
逆に3分前はまだ水を渡してない状態なので
-1ℓ×(-3)分で3ℓ
というように①から④パターンを説明することができます。まだまだ試行錯誤の最中ですが現状この説明方法が一番感触がいいです。
私自身、学生時代は自分の中で理解できないと先へ進めないタイプだったので、なんで?どうして?で止まってしまう子にはとことん付き合いたいと思っています。